解説と物語
L’ INTRODUCTION ET RÉSUMÉ

ラスト20分。感動で、あなたはもう席を立てない!

カンヌを笑いと涙で包んで─フランス映画の歴史に新たな名作の誕生。
この映画は実話を元に映画化された!

囚人たちの為に演技のワークショップの講師として招かれたのは、決して順風満帆とは言えない人生を歩んできた崖っぷち役者のエチエンヌ。
彼は不条理劇で有名なサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』を演目と決めて、ワケあり、クセありの囚人たちと向き合うことに。
しかしエチエンヌの情熱は次第に囚人たち、刑務所の管理者たちの心を動かすことになり、難関だった刑務所の外での公演を実現するまでに。
ただ思いも寄らぬ行動を取る囚人たちとエチエンヌの関係は常に危うく、今にも爆発しそうでハラハラドキドキの連続。
その爆弾は、舞台の上でもいつ着火するかわからない。
ところが彼らのその危なげな芝居は、むしろ観客や批評家からは予想外の高評価を受けて、再演に次ぐ再演を重ねる大成功!
そして遂にはあのフランス随一の大劇場、パリ・オデオン座から、最終公演のオファーが届く!!
果たして彼らの最終公演は、観衆の 喝采アプローズ の中で、感動のフィナーレを迎えることができるのだろうか?

『マドモワゼル』や『灯台守の恋』などの名脚本家としても知られるエマニュエル・クールコルの監督第二作である本作は、ライブでの開催を断念したコロナ禍の2020年カンヌ国際映画祭において、授賞の無いオフィシャルセレクション・カンヌレーベルに選出された。その後フランスの度重なるロックダウンを経て2021年9月にようやく劇場公開されると、ポックスオフィス初登場第二位のスマッシュヒットを記録。フランス国中を感動と熱狂の渦に巻き込んだ。

主役のエチエンヌを演じるのは、コメディアン出身でフランスの国民的スター、カド・メラッド。『コーラス』の体育教師役を演じて俳優として注目され、『マイ・ファミリー/遠い絆』でセザール賞助演男優賞を受賞。2008年7月14日には当時のサルコジ大統領の招きで、コンコルド広場で開かれた軍事パレードの「世界人権宣言」前文を読み上げる名誉職を努めた。


映画にとって重要なパートである囚人役を演じた俳優たちは、様々なキャリアを持つ個性的な配役。
中でも印象的なカメル役のソフィアン・カメスは、パリとマルセイユで幼少期を過ごし、マルセイユ出身・チュニジア系フランス人のカリム・ドリディ監督作品「CHOUF」の主演で注目された。本作『アプローズ、アプローズ!』の演技では、アングレーム・フランコフォン映画祭のヴァロワ賞(最優秀俳優賞)を受賞している。
他にもブリキナファソ出身のワビレ・ナビレ、ロシア出身のアレクサンドル・メドベージェフなど、多彩なキャリアの俳優たちを起用し、移民や難民、家族、人種、持病、トラウマなど様々なバックボーンを持つ“ゴドーたち”の多様性をリアルに体現している。それはそのまま現代フランス社会の一つの断面を切り取っていることに他ならない。
また囚人たちを娑婆へと連れ出すこととなる塀の外での公演が困難な中、主人公のエチエンヌの情熱だけではその実現は叶わなかったに違いない。その山を大きく動かしたのが、2人の女性であったことも、この映画の魅力の一つとなっている。
特に大きな存在感を示す所長アリアンヌを演じたのは、ドゥニ・アルカン監督の『みなさん、さようなら』、ジュリアン・シュナーベル監督の『潜水服は蝶の夢を見る』、ギョーム・カネと共演した『世界にひとつの金メダル』など話題作への出演も多いマリナ・ハンズ。彼女が表現した静かな佇まいと芯の強さは、本作をより感動的なものに昇華させる大きな役割を担っている。


劇中に出てくるサミュエル・ベゲットの『ゴドーを待ちながら』は言わずと知れた不条理劇のスタンダードプレイで、日本でも多くの演出家が取り組んでいる名作。柄本明親子による『柄本家のゴドー』をはじめ、串田和美氏、いといせいこう氏、ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏、白井晃氏ら、多くの名演出家、名優たちが独自の解釈で舞台化している。


本作は、スウェーデンの俳優ヤン・ヨンソンが1985年に体験した実話をベースにしている。またエンディングロールで使用されている曲が、ニーナ・シモンの“I Wish Knew How It Would Feel to Be Free”であることも、決して忘れてはならない。
撮影はフランスに実在するモーショコナン刑務所の協力の元に行われている。

監督プロフィール
PROFIL DU RÉALISATEUR

エマニュエル・クールコル | 監督・脚色 Emmanuel Courcol – Réalisateur, Scénario et Dialogue

幼少期と思春期をアンジェで過ごした。アンジェのダヴィッド・アンジェ高校を卒業後、法律を学ぶ。アンジェ音楽院で演劇に出会い、1981年にENSATT(Ecole de la Rue Blanche)に入学。舞台俳優としてのキャリアは、ジャン=ルイ・タミン、ロジェ・プランション、ディディエ・ベザース、ロベール・オッセン、マリオン・ビエリーなどの監督の下で活動。2000年以降は徐々に脚本を書くようになり、フィリップ・リオレ監督の『マドモワゼル』や『灯台守の恋』などの佳作で高い評価を受けた。2012年に初の短編映画『Géraldine je t'aime』(グレゴリー・ガデボア、ジュリー=マリー・パルマンティエ出演)で監督業に進出。2015年にロマン・デュリス、グレゴリー・ガドゥボア、セリーヌ・サレットが出演する初の長編映画『アルゴンヌ戦の落としもの』を監督。

本作はコロナ禍の中、2021年9月1日にフランス公開、初登場第二位のボックスオフィスを記録した。

2010年にはフィリップ・リオレ監督作品『君を想って海をゆく』でセザール賞オリジナル脚本賞にノミネートされ、同年ジャック・プレヴェール脚本賞を受賞している。
2020年のカンヌ映画祭に選出された本作は、アングレーム・フランコフォン映画祭でヴァロワ・デュ・パブリック賞(演技賞)を受賞。第33回ヨーロッパ映画賞で最優秀コメディ賞他、多くの賞を受賞している。

主演プロフィール
PROFIL DE KAD MERAD

カド・メラッド | エチエンヌ Kad Merad – Étienne

俳優、コメディアン、監督、脚本家。1964年3月27日、シディ・ベル・アベス(アルジェリア)生まれのフランス系アルジェリア人。オリビエ・バルーとのデュオ“カド&オリビエ”で頭角を現し、現在も定期的に活動しながらソロ活動も行っている。
転機となったのはクリストフ・パラティエ監督の『コーラス』(2004)への出演。この作品の体育教師役が高い評価を受けると、フィリップ・リオレ監督の『マイ・ファミリー/遠い絆』(2006・ビデオストレート)の主演に抜擢、セザール賞主演男優賞を受賞した。
2008年7月14日、ニコラ・サルコジの招きで、パリのコンコルド広場での7月14日の軍事パレードで、欧州連合の首脳、国連の代表、地中海連合の国々が出席する中、世界人権宣言の前文を読み上げる大役を務めたことも。
同年公開され、本作ではプロデュースも務めるダニー・ブーンが監督・主演した『ようこそ、シュティの国へ』は、公開初週で350万人を動員するビッグヒットを記録。2011年に『最強のふたり』が公開されるまで、フランス映画史上興行成績第一位を記録していた。
他の出演作に『クイーンズ・オブ・フィールド』(2019)、『オーケストラ・クラス』(2017)、『幸せはシャンソニエ劇場から』(2008)など。

エマニュエル・クールコルの「ゴドーたち」
(キャストプロフィール)
LES "GODOTS" D'EMMANUEL COURCOL

個性的な俳優と彼らが演じるキャラクターの絶妙なアンサンブル
Un bel ensemble d'acteurs uniques et les personnages qu'ils incarnent.

ムサ - ワビレ・ナビエ

ムサが何をしたかは知っています。不法占拠地でのケンカで、誤って人を殺してしまい、悪い方向に進んでしまったのです。このキャラクターだけは、演じる俳優を想定して書きました。ワビレ・ナビエは、私の処女作『アルゴンヌ戦の落としもの』でも重要な役を演じてくれました。彼とは、ワガドゥグー(ブルキナファソの首都)で行ったキャスティングで知り合いました。彼は小さな役のオーディションを受けに来たのですが、他の役者より目立っていたので、予定を変更したのです。彼は並外れた人物です。ブルキナファソ出身で、ワガドゥグーの舞台で、主にストーリーテリングショーの仕事をしていました。今はフランスに移住しています。ベケットの戯曲の主人公は浮浪者ですが、根無し草のようなキャラクター、移民がいてもおかしくないと思ったのです。舞台上のワビレは、強い存在感と信憑性を持っている。彼を通して、セリフが信じられないほど響いてくるのです。

カメル - ソフィアン・カメス

カメルは牢屋の主ということで、大柄でインパクトのある男を想像していたのですが、いざソフィアンと対面し、その知性あふれる演技を見て、完璧な人物だと思いました。本作の中での中心人物である彼は、優れた知性を持ち、人を操ることに長けた存在です。必ずしも大物ではありませんが......。ソフィアンは『ピガール』のカリム・ドリディ監督「CHOUF」 (日本未公開)に主役として出演し、イザベル・アジャーニ主演、ロマン・ガヴラス監督の「世界は君のものLe monde est à toi」(日本未公開)にも出演しています。彼はコンセルヴァトワールで学び、本物のカルチャー、本物のテクニックを持っています。俳優が囚人である様に見えなければならず、同時にベケットを演じるときに何かが起こらなければならない。彼の場合、それは明らかでした。彼は、キャラクターの曖昧さを高めるために、メイクで傷跡を加えていました。カメルは銀行強盗です。彼によって、私たちは組織犯罪の世界に近づいていくのです。

パトリック - ダヴィッド・アヤラ

ダヴィッド・アヤラとは長い付き合いです。彼の舞台を追いかけてきて、いつも素晴らしい俳優だと思っていました。少し迷いましたが、最初から彼を意識していました。キャスティングはエマニュエル・プレヴォと一緒にやりました。彼女は私が登場人物を考えるのを手伝ってくれ、私がすでに想定していた名前に行き着くことが多かったのです。ダヴィッドは、その人間味とともに、手ごたえのある存在感をキャラクターに与えてくれました。パトリックは恐喝で捕まりましたが、おそらく老人を狙った薄汚い詐欺でしょう。新しい受刑者は、性犯罪者や小児性愛者でないことを証明するために、刑の執行を受けたときのコピーを携えてやってくることが多いのです。それは刑務所の中ではすぐに評判になってしまいます。

ジョルダン - ピエール・ロッタン

ジョルダンはケチな泥棒だが、それ以上に重要なのは、犯罪を繰り返していることです。あまり重い刑に処されることはないのですが、軽犯罪を繰り返すうちに、犯歴が重なり、長い間、塀の中で過ごすことになるのです。ピエール・ロッタンは「LES TUCHE」シリーズ(日本未公開)の役で有名ですが、私は「UP AT NIGHT」(日本未公開)という短編映画で彼を発見し、本当に驚き、奇妙で、少し怖いとさえ思いました。ジョルダンは、この中で最ももろい存在です。彼はおそらく、字が読めないために他の囚人から殴られるような存在になっており、エチエンヌとは少し強い関係性を築いています。ピエールは彼のもろさ、熱っぽさ、そして何かとても感動的なものを引き出すのに成功しています。

アレックス - ラミネ・シソコ

アレックスは小物の麻薬の売人で、かなり統一感のあるキャラクターです。ラミネは台本に書かれている説明にぴったりです。背が高く、若く、黒人の彼は、『ゴドーを待ちながら』の子供役を演じています。その子供は身長が2メートルもあるのです!ラミネはバジル・ドガニス監督の「MELTEM」(日本未公開)に出演していますが、この監督は短編映画「JOURNÉE D'APPEL」(日本未公開)でも彼を起用し、素晴らしい演技を披露しています。アレックスという役はこの映画では大きな役ではありませんが、ラミネはとても才能のある役者なので、レッスンを受けたり、演劇を続けるように言いましたが、今はトラップにある幼稚園でコックとして働きながら、オーディションに参加したり、映画の仕事を少ししたりしています。

ボイコ - アレクサンドル・メドベージェフ

意外な人物が仲間になるのはいいことだと思いました。ボイコはロシア人で、囚人で「補助員」、つまり刑務所で清掃の仕事をしているんです。このキャラクターは、不思議なニュアンスの詩的な効果があると思いました。刑務所の中には、どうしてそこにいるのか不思議な存在感の人というのがいるものですよね。彼はきっと裏取引をしていて、結局捕まってしまったのでしょう。私にとって、ボイコはベケットの精神に通じるものがありました。そしてある日、誰にも言わずにゴドーを演じようと決心する。アレクサンドルはフランスに住むロシア人俳優です。俳優で劇作家でもあるジョルジュ・ラヴォーダンなどの、助成を受けた劇場で多くの仕事をしています。彼は最初、ロシアの劇団と一緒にロシア語で公演するためにフランスに来たのですが、それからずっと帰っていません。

映画の背景
CONTEXTE DU FILM.

サミュエル・ベケットと『ゴドーを待ちながら』
Samuel Beckett et《En attendant Godot》.

サミュエル・バークレイ・ベケット(Samuel Barclay Beckett : 1906年4月3日 - 1989年12月22日)は、アイルランドの小説家、劇作家、短編作家、演劇監督、詩人、翻訳家である。成人になってからはパリに住み、フランス語と英語の両方で作品を執筆した。
ベケットの文学と演劇作品は、荒涼とした非人間的で悲劇的な人生体験を特徴としており、しばしばブラックコメディやナンセンスと結びついている。ベケットの作品は、キャリアが進むにつれてますますミニマルになり、より審美的で言語的な実験が行われるようになった。最後のモダニスト作家の一人とされ、マーティン・エスリン(Martin Esslin)は「不条理劇」と称した重要人物の一人とされている。
ベケットは1969年に「小説やドラマの新しい形式の中で、現代人の困窮とその高揚を獲得した彼の執筆に対して」ノーベル文学賞が与えられた。1984年にアイルランドのアオスダーナ芸術家協会選出のサオイに初めて選出された人物でもある。

ロジェ・ブランによるパリ・バビロン劇場での『ゴドーを待ちながら』1953年初演時の貴重な写真。右端がロジェ・ブラン。

劇中に引用された『ゴドーを待ちながら』は、もちろんベケットによる戯曲で、ウラジーミル(ディディ)とエストラゴン(ゴゴ)の二人の登場人物が、決してやって来ないゴドーを待ちながら様々な議論や出会いを繰り広げるというものである。
『ゴドーを待ちながら』は、ベケット自身がフランス語で書いた原作『En attendant Godot』の翻訳であり、英語版には「2幕の悲喜劇」という副題がついている。
フランス語の原作は1948年10月9日から1949年1月29日の間に書かれた。
ロジェ・ブランの演出による初演は1953年1月5日にパリのテアトル・オブ・バビロンで行われた。英語版は1955年にロンドンで初演された。
1998/99年にイギリスのロイヤル・ナショナル・シアターが実施した投票では、「20世紀で最も重要な英語劇」に選ばれた。諸説あるが、ゴドーは神(God)の暗喩だったのではとの説がある。

コメント

著名人からの絶賛コメント
Commentaires

緊張感と臨場感がある場面の中でもユーモラスな台詞の応酬がさりげなく心地よかったです。歩んできたことは決して消えず、歩んでいく先だけが見えない曖昧な人生のなかで人と人が交差する瞬間がこうも尊くて可笑しくて、いろんなことが仕方がないのかと、悲観的ではなく、すとんと腑に落ちるように思えました。圧巻のラストシーンは凄まじく、飾り気のない本当に素晴らしい一本でした。

ヒコロヒーさん(お笑い芸人)

映画の中での劇、つまり劇中劇は難しい。
自分が演じるキャラクターが、また別の人格を演じる事で、芝居が何重にも複雑化するからだ。そのバランスが巧みなのは、監督自身が俳優で、その難しさを承知しているからに他ならない。
監督の舞台に対する愛情、俳優に対する愛情が感じられ、ラストのオデオンでの公演は涙がこぼれた。

オダギリジョーさん(俳優)

この映画の題材は、かつて世界中の演劇界で話題になった実際の事件だ。僕もそのことに刺激を受け、かつて緒形拳さんらと全国ツアーをした『ゴドーを待ちながら』は網走の刑務所でも上演した。この映画はさらに刺激的だ!

串田和美さん(俳優・演出家・舞台美術家)

『ゴドーを待ちながら』という戯曲は、本当にやっかいで、それを六カ月で服役囚が劇場で上演するというだけで大冒険なのに、次々とすさまじいことが起こり、これが実話だって言うんですから、まったくもう、言葉を失います。ガツーンとやられました。

鴻上尚史さん(作家・演出家)

「囚人たちが演劇の公演をする」。その設定自体は「へえ」ってなもんだった。俄然興味が湧いたのは、彼らの演じた演目が『ゴドーを待ちながら』だったからだ。実話だという。よくある奮闘記ではなく、感動的な映画だった。
かつて演劇の先輩が網走の刑務所で『ゴドー待ち』を上演して、囚人たちにバカ受けだった。彼らがこの演目に惹かれる理由を、今も考えている。

ケラリーノ・サンドロヴィッチさん(劇作家・演出家・音楽家)

寓話で語られる人生の不条理は、何度も謙虚にその断りを立てながら、生きることを肯定しようとしていた。過去に対する反省から思う、未来への期待は常に寓話に込められ、未来永劫、不条理を生きろと励ましているように思えた。生徒たち、囚人たちのそこに存在る美しさ、劇中劇の中で彼らは圧倒的に輝いていた。

渡辺真起子さん(俳優)

「囚人たちの演劇が評判となり、彼らも社会も変化してハッピーエンド」という凡庸な紋切り型とは全く違う、自由とは何か?! という、この世相だからこそ重要な問題を突きつけてくる作品。彼らが演じるベケットの『ゴドーを待ちながら』の存在が、刑務所で「待つ」という意識に支配される囚人たちとオーバーラップする作劇の上手さ。演劇ファンに観ていただきたい!

湯山玲子さん(著述家・プロデューサー)

キャスティングのバラバラ感がフランス的な囚人たちが、意味を理解しないまま話すセリフのひとつひとつの言葉が、現実味を持って胸におさまっていく不思議さ。自分には無縁の戯曲と遠ざけていたのを後悔し、繰り返し上演される名作のわけを実感した。
しかも事実がベースになっているとは。これを納得させてくれるのこそ、映画の力。

原由美子さん(ファッションディレクター)

実話を元にした映画は楽しめないことがよくある。説明的になるからだろう。前半はそんな予感もしていた。しかし、しかし・・・。最後は俳優として最高の舞台とは例えばこのことを言うのだなと羨ましくも感涙しました。

古舘寛治さん(俳優)

演劇は人の心を解放させる。他者を意識して初めて自分は存在する。自分の存在を認められてこそ私たちは生きることができる。生きるために必要なものを演劇を通して静かに教えてくれる。

白井晃さん(演出家・俳優)

自由を謳歌していると思っていた私より、囚人である彼らの方が、よっぽど精神は自由だった。それを教えてくれた『唖然のラスト』20分に、私はしたたかに打ちのめされた。私はゴドーを待つことさえしていなかったのだ……。

池田鉄洋さん(俳優・演出・脚本家)

これはヒューマンドラマの皮を被った心理サスペンス、心理スリラーですよ!
あー、ハラハラした、あー、怖かった。

伊勢志摩さん(俳優)

「ゴドー」を演じたことのある人には勿論、「ゴドー」を観たことのある人にも、ある種の共感と思わぬ感動が届く映画だとは思いますが、この映画は「ゴドー」を知らない人にこそ観て頂きたい映画だと感じました。

斎藤歩さん(俳優・公益財団法人北海道演劇財団理事長)

ここに登場する『ゴドーを待ちながら』という傑作舞台が、不条理劇ながら何故にこんなにも愛されるのか?
「待つ」人生、そんなに捨てたものではない――
心が解放されるまさにその瞬間(とき)を、この映画はもたらしてくれる!

立石和浩さん(劇場プロデューサー)

絶望のどん底に、運命を逆転させるチャンス!
あたたかい希望を観客に運ぶ『アプローズ、アプローズ!』は、社会の厳しさも突きつける。
囚人たちが演じるベケット作『ゴドーを待ちながら』は、普遍的な人生の悲喜劇として深く味わえる。

桂真菜さん(舞踊・演劇評論家、国際演劇評論家協会)

売れない俳優と、ベケットの名前など聞いたこともない、刑務所のワルたち。
このでこぼこコンビのやりとりが可笑しくて、笑いながら観ているうちに、いつの間にか涙腺が緩む。なんと人情味あふれる映画だろう。ルノワールのエスプリを継承したクールコル監督に乾杯。

佐藤久理子さん(文化ジャーナリスト)

最も感動的な瞬間は、いつも想定外のところからやってくる。
これぞ、名戯曲家も脚本家も書けないであろう、エキサイティングなストーリー。
たとえ辿り着く先が違ったとしても、情熱のあるところに必ず物語は生まれる。

立田敦子さん(映画ジャーナリスト)

ゴドーを待つように、何かを待ち続ける囚人たち。演劇を通して、彼らに心の翼を授けるつもりが、自らを羽ばたかせることになる売れない俳優。そして思いもよらぬ結末。ベケットの笑みが見えるようだ。カンヌの大スクリーンに凱旋するさまを観たかった!

石津文子さん(映画評論家)

楽観的な「囚人の再生物語」と思っていると、足元をすくわれる。
これは喜劇なのか、悲劇なのか。或いは不条理劇なのか。
そして、誰にとって?
驚くべき実話は現代劇に変換され、いまを生きる人々を惑わせる。

SYOさん(物書き)

私も人生という名の大舞台に立っていることを自覚できた、人間の可能性と尊厳に触れるギフトのような映画でした。
自分を諦めず、誰のことも諦めず、挑戦を続けたその先に何が待つのか。
実話に基づいた、その真実に救われた。

東紗友美さん(映画ソムリエ)

演技に没頭することで誰かになれる。しかし、仮面の隙間からは内面が染み出しているのだ。情熱掻き立てる囚人たちのエキスは、仮面かぶらぬ者を揺さぶり動かす。傍観者を虚構の共犯者に誘う魔力がそこにあった。

Che Bunbunさん(映画の伝道師)

「服役囚が演劇で大活躍!」というキャッチーな設定から「そんな展開あり!?」と思わせるのに、まさかの実話!
そこから劇中で題材となる有名不条理劇『ゴドーを待ちながら』の新たな視点と解釈を提示され、喜劇と悲劇をブン回してくる感動!?の作品です!

しんのすけさん(映画感想TikTokクリエイター)

名脚本家、エマニュエル・クールコル監督の最新作『アプローズ、アプローズ』。
くすぶった崖っぷち演出家の元に舞い込んだのは、囚人たちに演技を教えるワークショップだった。
舞台の上でだけ自由を噛み締める囚人たちの演技が堪らなく胸を打つ、ラスト20分で一気に感動が押し寄せるフランス刑務所映画の最高峰。

フミヤさん(映画監督・TikToker)

(順不同)

フランスメディアによる称賛レヴュー
Critique

エマニュエル・クールコルは、ステレオタイプに陥りがちな題材を、野心的で統一感のある感動的な映画を作り上げている。

ステファン・ジョビ氏 / ジャーナル・ディマンシュ紙

魅力的なキャラクターを演じる個性的な俳優陣による素晴らしいエンターテインメント!

ティエリー・シェズ氏 / ウエスト・フランス誌

エマニュエル・クールコルは、一見シンプルな語り口でありながら、ユーモアと驚きに満ちたコメディーに仕上げている。

エリサ・コボ氏 / エル誌

この作品が素晴らしいのは、刑務所の環境を改善し一人でも多くの囚人が芸術やカルチャーに触れることがどんなに重要であるかということを、立派に訴えていることだ。

ミカエル・メリナール氏 / リュマニテ紙

ジャック・オーディアール監督の『預言者』以降に作られたフランス映画の中でも、最高の刑務所映画といえるでしょう。

エチエンヌ・ソラン氏 / フィガロ紙

クレイジーで詩的な映画。

カトリーヌ・バル氏 / ル・パリジャン紙

この映画は贖罪と再生についてシンプルなメッセージを伝えている。

ジャン=リュック・ワッタウゼン氏 / ル・ポワン誌

脚本が素晴らしく、ドラマチックな強さ、決して独りよがりに陥らない、誠実な驚きとカタルシスに満ちている。

オリヴィエ・ドゥ・ブライン氏 / レ・ゼコー誌

クレバーでエキサイティングな映画!

ファブリス・ガイノー氏 / マリ・クレール誌

非の打ちどころのない完璧な作品。

ファブリス・ルクレール氏 / パリマッチ誌

社会の階層の断面を、非凡な言葉と表現で描き切った秀作。

パプティスト・ルーズ氏 / ポシディフ誌

俳優たちが輝いていること、それが何よりもエキサイティングな体験だった!

ギュメット・オディチノ氏 / テレラマ誌

俳優たちの演技によって、魂が解放される。

クラリス・ファブレット氏 / ル・モンド紙

感動的なヒューマン・アドベンチャーとして秀逸だ。

ソフィー・グラッサン氏 / ヌーヴェル・オブセルバトゥール紙

カド・メラッドの素晴らしさもさることながら、ソフィアン・カメスとピエール・ロッタンの演技に心が震える。

ティエリー・シャゼ氏 / プルミエール誌

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詳細は各劇場までお問い合わせください。

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